社風を知る

POINT 06理系社員の
将来とは?

ニッタの技術者は、多くの場合、複数の部署を経験し、幅広い業務を担当しながら、成長していきます。日本を飛び出して海外の製造拠点へ異動してリーダーになるなど、よりグローバルな経験を積む理系社員もいます。
そうした中から、やがて、理系としての技術や経験をベースに、事業全体のことを考え、事業を動かすような社員が育ってくるのです。
ここでは、理系出身の経営幹部を代表して、執行役員 石塚隆文に、自らの経験を語ってもらいましょう。

石塚 隆文

執行役員 奈良工場長
安全環境品質・購買担当
工学部 化学工学科卒

1984年入社

まず、何か一つの分野で
“プロ”になろう。
その経験があなたを成長させる。

私は大学の化学工学科でウレタンの研究をしていました。その時には、社会人になってから、こんなにさまざまな体験をすることになるとは考えていませんでした。
ニッタに入社し、まず2年ほどは研究開発本部に在籍しました。ベルト製品に使うウレタンの研究で、ある素材を自社製造できないかと研究し、開発には成功したのですが、結局、コストなどの課題が残り製造は断念することになりました。

次に配属されたのは産業資材事業部でした。当時のニッタの中では、まだ歴史が浅く小さなセクションで、私が担当した業務は「止水材料」の製造。止水材料は、高速道路など、橋梁の継ぎ目の伸縮装置から雨などの水が漏れることを止める材料で、シールと呼ばれます。
肩書きは製造担当でしたが、メンバーも少なかったので、その製品については何から何まで関わりました。断面構造を研究したり、技術面や製造面をみたり、現場にまで行って施工指導をしたり。さらには同業他社と一緒に「シール研究会」という業界団体を立ち上げて、統一規格を策定する作業に関わったり。その頃の私は、まさに“シール屋”でした。一生懸命走り回って、おもしろかったですよ。

その後、同じ建設資材事業部の営業に異動しました。主に担当したのは、橋梁用のゴムジョイント。橋梁や高速道路の高架部は気温の変化で伸縮しており、その伸縮や揺れを吸収するための製品です。
取引先には阪神高速道路などがあり、先輩がそうした顧客から頼りにされているのを見て、自分もそんな存在になりたいと思いました。営業といっても、技術者出身ですから、自分で図面も描きます。不具合の連絡があると、現場に足を運び、自分たちで解析して原因を報告したりもします。今度は“ジョイント屋”です。ジョイントに関しては“プロ”なんだから、できないことがあってはならないと思ってやっていました。後に同じ製品の技術部に移り、自分で考えてカタチにした改良版の製品を、首都高速道路や阪神高速道路に提案して採用されたときには、うれしかったですね。

入社から16年が経って40歳が近づいてきた頃、私は管理職になりました。それから奈良工場に異動し、ベルトの素材のゴムを練るセクションの課長に。それまでとはまったく違う素材の分野で、これも勉強になりました。
その後、今度はベルトの製造部の部長になりました。ニッタを支える大きな部署です。さらには、安全環境品質グループの部長に。そこは部門を超えて全社の安全や環境対応、品質管理を司る部署です。それぞれ私にとっては、まったく新しい分野でした。
そして、2020年から奈良工場長になりました。現在は、工場の全体を見るという、それまでとは異なる視点が求められる仕事をしています。それだけではなく、新しい工場をつくるプロジェクトも担当しています。設計事務所さんや行政機関と折衝するなど、これまで知らなかったことを勉強している最中です。

それにしても、今振り返ると、よくもまあ次々といろいろな分野で仕事をしてきましたね(笑)。うまくいったことばかりではないし、今はなくなってしまった製品もありますが、どれもおもしろかった。
これは良いことかどうか分かりませんけれど、私は、“自分はどうしてもこれをやりたい”というタイプではありませんでした。でも、担当した製品や仕事には、一生懸命取り組んできたと思います。その時々に精一杯やってきたから、おもしろかったと言えるのでしょうね。
私の場合、それができたのは、ニッタの社風のおかげかもしれません。上司や先輩たちにはかわいがって育ててもらったし、任せてもらった。だからいろいろ幅広い経験を積みながら成長できたのでしょう。そういう社風は今も変わらないと思います。

これから社会人になる技術系の方は、まず、担当した製品や分野を深掘りして“プロ”になることが大事だと思います。会社は変化していくので、異動したり、担当した製品がなくなったりすることもありますが、何かを深掘りしてプロになったという経験は、次に携わる分野でも必ず活きてきます。
ニッタの製品は、一つ一つをみれば、小さなものがほとんどです。だけど、こうしてあちこちで役に立つ存在になっている。意外とたいしたものなんです(笑)。それはニッタの社員も一緒。だからきっとあなたも、今は想像もできない経験をしながら、“たいしたもんだ”と言われる仕事ができるようになると思いますよ。