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03 無理難題をチャンスに変える!

物流の“困りごと”に、
独自の技術で挑戦。
そこから新製品が
生まれた。

「軟包装用ベルト」で、これからの物流に貢献。
(前編)

ニッタの主力製品であるベルト。その需要が伸びている分野の一つが、物流業界だ。
いわゆるネット通販の配送サービスを、あなたも利用したことがあるだろう。
購入した商品は、全国各地にある物流拠点や配送センターから迅速に配送されてくるが、
そうした施設の中では、たくさんのコンベヤが稼動し荷物を搬送している。
ところが最近、SDGsの観点や環境や物流の問題によって、この搬送が大きく変わり、
コンベヤに求められるものも変わりつつあるというのだ。
ニッタに求められた難題と、それをチャンスに変えた技術者たちのストーリーを追った。

ネット通販A社から
やって来た難題。

あなたは、ネット通販などの荷物に起こっている、ある変化に気づいているだろうか。
以前は、商品がゆとりのある大きいダンボール箱で送られてくることが多かったはずだ。ところが最近では、箱がずいぶん小型化されている。さらに、箱ではなく紙袋や封筒状の包装が増えている。物流業界では、それを軟包装と呼ぶ。
そうした変化をもたらしたのは、“物流課題”だ。物流業界には今、環境負荷増加、人手不足、配送コスト、再配達率増加など、多くの課題が山積している。荷物を小型化、軟包装化することで、配送の効率を上げ、それらの課題を軽減しようとする試みが始まっているのだ。

ゆとりのある大きめの箱→袋、封筒(軟包装)

  • 大井 亮人 工業資材事業部(ベルト)技術部
  • 辻 暁人 工業資材事業部(ベルト)技術部
  • 内藤 颯 工業資材事業部(ベルト)技術部

ところが、その変化によって、ネット通販などの物流拠点では新たな課題が持ち上がっている。
コンベヤには、ローラだけで荷物を搬送するもの(ローラコンベヤ)と、ローラの上にベルトを走らせ、その上で荷物を搬送させるもの(ベルトコンベヤ)がある。

ローラコンベヤの上を搬送されるダンボール箱。これなら問題はなかったのだが……。

ダンボール箱なら、ローラコンベヤの上を問題なく流れていたのに、紙袋や封筒のような軟包装では、ローラの隙間に挟まったり落ちてしまったりすることが増えてきたのだ。特に問題なのが、コンベヤのカーブの箇所だ。カーブではローラ間の隙間が大きくなり、また荷物に遠心力も働くため、紙袋や封筒が落ちてしまうアクシデントが多くなってきた。
ネット通販や物流業界で、新たな“困りごと”が発生しているのだ。

「すでにあるローラコンベヤのカーブの箇所に、ベルトを取り付けて、その上を搬送させたい。ニッタさん、何とかしてもらえませんか?」
2021年の春、そんなリクエストが、世界的なネット通販会社であるA社から、ニッタのベルト事業部に飛び込んできた。

誰もがムリだという課題に挑む。

カーブのベルトコンベヤを作るのは、簡単ではない。遠心力の働くカーブで連続してベルトを回せば、ベルトは次第に外側か内側かへ寄ってしまう。安定してベルトを回し続け、コンベヤを動かし続けることが難しいのだ。

ニッタの既存の製品「ベルトカーブコンベヤ」。コンベヤとベルトを一体化して開発したからこそ実現できた製品だった。

簡単ではないが、実は、以前からニッタは、カーブのベルトコンベヤを製品として販売している。それは、コンベヤとベルトを一体開発したからこそ可能になった製品だ。ベルトが正しい位置を回り続けるようガイドを付けるなど、ニッタが長いベルト事業で培ったノウハウを投入してある。このカーブベルトコンベヤは、ニッタが高い評価を得ている製品である。
しかし今回、ネット通販のA社からのリクエストが、その既存製品と全く異なるのは、「すでに設置されているローラコンベヤに、後付けでベルトを取り付けたい」という要望だったことだ。
確かに、すでに設置してある全国のローラコンベヤを、カーブベルトコンベヤに置き換えるのは、膨大なコストや期間が必要で、現実的ではない。かといって、後付けでベルトを取り付けるのも、前代未聞の要望だった。

カーブのローラコンベヤの上を搬送される荷物は——

その話を聞いたベルト事業部の技術部のメンバーからは一様に「それは難しいな」という声が上がった。「引き受けて、“できませんでした”というわけにはいかない。初めから断るほうがいいのではないか」という意見も出たほどだ。
開発の主担当になった大井亮人も、同じような感想だった。「すでにあるカーブのコンベヤに、後からベルトを付けるなんて、想像もつかなかった。できないかもしれない、と思いました」

A社では、2023年1月から、軟包装を本格的に増加させる予定になっていた。2022年の年末までにすべての対策を終える必要があり、まずは2021年のうちにメドを付ける必要があった。 開発に長い期間をかけたうえで、もしできなければ、A社にも迷惑をかけてしまう。ニッタでは、自主的に開発の期限を3カ月と決めた。「それでできなければ仕方がない。とにかく全力でやってみよう」 社内には「軟包装ベルトプロジェクト」が組まれ、大井を中心とした試行錯誤が始まった。([後編]に続く→

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