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01 イノベーションを起こせ!

若手中心のプロジェクト活動が、
まったく新しい製品と
事業を生み出した!

「食品向けロボットハンド」開発ストーリー
(前編)

ニッタが130年以上の歴史を持つ企業になり得た理由。
それは、つねに創意工夫を大切にし、新しい技術や製品、
事業を模索して、形にしてきたからだ。
そんなニッタが、2019年にまたひとつ、新しい製品を世に送り出した。
それは、若手・中堅社員が中心になって、一から生み出したものだという。
その開発の軌跡を追った。

ミッションは「新事業のタネをつくる」

2015年の春、波多野至と新田浩和は、別々に、それぞれの上司から呼び出されて、異動の内示を受けた。行く先は「NIC(NITTA Innovation Crew)」。既存の部署ではない。社長直属で発足したばかりの新しいチームだった。
波多野は、理論化学の出身。研究を行う部署 テクニカルセンターで、ウレタンを使った新製品を探索する研究をしていた。「NICという取り組み自体が初めてで、いわば僕らが1期生。異動と聞いても前例がないから「???」でした(笑)」 一方、新田は化学工学出身 。ベルトの開発に携わった後、技術営業としてグローバルマーケティング部にいた。「異動先がNICだと聞いたとき、てっきりインドの現地法人NCI(Nitta Corporation India)だと思いました。子どもができたばかりなのにインド赴任なのか、と(笑)」 そんな波多野と新田を含む4人が、NICに集まった。

  • 波多野 至 2006年入社 テクニカルセンターRPプロジェクト
  • 新田 浩和 2008年入社 テクニカルセンターRPプロジェクト

NICのミッションは、新しい製品、事業を生み出す種を見つけることだった。
世の中では、どんなものが求められているか。ニッタは、どの業界に向けてチャレンジをすべきなのか。それぞれが発案したテーマを持ち寄り、メンバー全員で議論する。テーマは自由だが、130年以上ものづくりをしてきたニッタのリソースを活かせるもの。何よりニッタらしいものでありたい。
「社会にはこういう課題があって、こんなことで困っている人がいる。一方で、ニッタはこういう技術を持っている。じゃあ、どんなものがつくれるか。たとえば、医療関係はどうか?社会インフラ関係は?といった具合に探していったんです」 彼らは、あらゆる業界にアンテナを広げていった。

社会の困りごとを解決できるか

これまでの業務とはまったく異なるプロジェクトは、彼らの行動も変えた。
「たとえば新聞を読む時、これまでは自分の扱うベルト製品に関係する記事しか目に付かなかった。でもプロジェクトに参加すると、あらゆる記事にヒントがある気がして、読み方が変わりましたね」と新田。さまざまな展示会に出かけて行き、出展者と情報交換をするなど、積極的に動いていく。
一方、波多野は、ひたすら考えたり図書館にこもったりする時間をつくった。「自分がつくってみたいものをつくれるチャンスをもらえた、と考えました。人の意見も大事だけれど、僕は影響を受けて流されてしまいがちなので(笑)。“自分はこれを作りたい”という信念を持てるテーマを見つけたかったのです」

メンバーからは興味深いテーマがいくつも上がってきた。しかし、すべてに全力投球をするわけにはいかない。彼らは、それらの候補を詳細に検討していく。
プロジェクトの前半期間で、彼らは候補を2つに絞った。そのうちの一つが、波多野が発案した食品工場向けのロボットハンドだった。
「いろいろな業界の製造ラインにロボットが導入されていますが、ロボットは、やわらかいものや、形がバラバラなものをつかむのは苦手。たとえば弁当の製造ラインの映像をTVなどで見ると、大勢の人が製造ラインに並んで、順に一つずつ惣菜を詰めていきますよね。食品メーカーでは、人手不足やコスト高で困っているという話も聞いた。それをニッタの技術で解決できるんじゃないかと」

ニッタが急にロボット本体を作るわけではない。だが、ものをつかむロボットハンドなら、これまでベルトでさまざまなものを運んできたニッタらしい製品ができるかもしれない。彼らはこの案に大きな可能性を見いだしていた。

ヒントはゴミ箱の中に!?試作を重ねる。

プロジェクトの後半期間、彼らはアイデアを形にしていった。
波多野と新田は、自分たちの手で次々と試作品をつくった。いくら立派なロボットハンドができたとしても、機構が複雑になっては、把持力(はじりょく=つかむ力)の調節の難しさや重量面などの問題が出てくるし、高額な製品になり、どこにも導入してもらえない。そこで、ゴムを袋状にして、つかみたいものに押しつけ、袋の中の空気圧を変えて把持することを考えた。それなら、低コストで製品化できて、空気圧を変えれば把持力を調整しやすい。しかし、試してみると、つかめるものが限られてしまう。たとえばキウイをつかむと見事につぶれてしまった。
悩んでいた波多野の眼に留まったのが、ゴミ箱にあったコーラのペットボトルだった。その底のような形状、つまり、数本の短い指が出ているような袋をつくって包み込めば、つかめるものがふえるかもしれない。さっそく、空ペットボトルを切り取って型を取り、試作品を作る。波多野はもともと手元でものを作りながら考えていくタイプ。新田は、ベルトの開発をしていたからゴムの成形はお手のものだ。
「僕らの手作りですから、おもちゃみたいな試作品です。でも、正式なものを金型から起こしている時間もお金ももったいない。とにかくいろいろ試して可能性を探るのが先だった。工場の片隅を借りて、2人でワーワー言いながらやっていましたね」
試作を重ねるごとに、ロボットハンドの形状は変わり、つかめるものが増えていった。

一方、他のメンバーは取引先の候補を探したり事業としての試算を行った。試作品を付き合いのあるメーカーなどに持ち込み、意見を聞いてまわる。「こういうものを作れれば、これぐらい売れる可能性がある」という仮説検証マーケティングを行ったのだ。
彼らが大急ぎでそれらを形にしたとき、約1年間のプロジェクトの期間は満了となった。2016年春、いよいよNICのメンバーは、2つの案を役員会に提案した。([後編]に続く→

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