クラウンミニ講座
クラウンとは
① 平ベルトの走行性を安定させるためにはクラウンが必要
平ベルトはVベルトなどとは異なり、プーリ表面を走行するため、ベルト幅方向にはその動きを抑制するものがありません。
そのため、通常はプーリの中央部の直径を両側より大きくするクラウン(中高)と呼ぶ加工を施します。
クラウン加工を施すと、プーリの直径差により、回転しているプーリの表面では速度差が生じ、プーリ中央の直径が大きいと、ベルト速度の速い中央部に両側から寄ってくることになり、ベルトはプーリ中央部で安定して走行するようになります。
② クラウン効果について - 1
③ クラウン効果について - 2
実験映像
クラウンなし
クラウンあり
なんらかの原因で、ベルト・プーリにスリップが発生した場合には、速度差が生じなくなるため、クラウン効果が発揮されず、 ベルトはプーリから逸脱してしまいます。
④ 推奨プーリ形状
- プーリ幅
プ一リ幅はベルト幅に対して余裕をみて設計してください。
通常は下記式にてプーリ幅を求めます。
bp≧1.15×b+ 2(mm) bp:プーリ幅(mm) b :ベルト幅(mm) - クラウン形状
用途やプーリの幅にあわせて適切なクラウン形状を選定してください。
プーリのクラウンは通常、表面を円弧状に加工します。(幅が広い場合は台形にする場合もあります。)
その曲率半径は小さいほど安定する傾向がありますが、曲率半径が小さいほどベルトの応力分布に無理が生じ、ベルト寿命が短くなったり、伝達力が低下したりします。
プーリのクラウン形状は、ベルトタイプ、ベルト幅、用途に合わせ、適切な形状に設定する必要があります。
伝動、広幅搬送のクラウン高さ一覧表及び紙葉類はさみ込み搬送の推奨曲率半径は、実績及び実験より求めた数値であり、規定はしておりませんので、参考値としてください。
紙葉類はさみ込み搬送のプーリ形状の場合、プーリ幅が広くなると(50mm以上)曲率半径が小さくなり過ぎて、ベルトがプーリに沿わなくなることがありますので注意してください。(そのような場合は弊社までご相談ください)
プーリは耐磨耗性のあるものでベルト走行面を1.5S~6Sに仕上げたものを用いてください。アルミプーリを使用する場合は、プーリが磨耗しないように表面処理(硬質アルマイトなど)を施したものを用いてください。
クラウン高さの効果としては、一般的にクラウンが高いほど大きくなりますが、必要以上に大きい場合にはベルトの剛性のため、クラウンに対してベルトが沿わなくなり、伝達能力の不足や走行状態が悪くなったりすることがありますので、ご注意ください。
④ 走行性を確保する方法として平ベルトの場合、フランジはほとんどの場合NGです。
プーリにフランジ(つば)を設けると、ほとんどの場合フランジにベルトが乗り上がる現象が発生し、ベルトに致命的なダメージを与えてしまいますので、プーリにフランジは設けないでください。
実験映像
⑤ このようなすり鉢凹プーリ形状で走行性を確保できるでしょうか?
実験映像