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03 無理難題をチャンスに変える!

物流の“困りごと”に、
独自の技術で挑戦。
そこから新製品が
生まれた。

「軟包装用ベルト」で、
これからの物流に貢献。(後編)

テストした試作ベルトは数百種類。

「軟包装ベルトプロジェクト」では、さっそくテスト環境を構築。A社の物流センターと同型のカーブのローラコンベヤを設置し、そこに取り付けて走らせるベルトの試作を始めた。素材、厚さ、長さなど、さまざまなファクターを少しずつ変えて何種類もの試作品をつくり、実際にローラにかけて、動かしてみる。
まったく走らず、すぐに端に寄って止まってしまうベルトもあった。まれにうまく走り続けているベルトがあっても、一晩動かし続けて翌朝に見ると、コンベヤのほうが壊れていたこともあった。ベルトの張力が強く、ローラに負荷がかかったのだ。

耐久テストでベルトが引きちぎれてしまったことも。

プロジェクトの中心となった大井は、来る日も来る日もテストに取り組んだ。「もちろん、理論的な推測も行い、設計や解析もコンピューターでデジタルに行うのですが、ベルトの開発は理論だけではできない。実際に動かしてみるアナログな評価が必要です。そこが難しさでもあり、面白さでもあります」
テストをしてうまく動かなければ、その状況から原因を推測し、社内の製造部に新たな試作品の製作を依頼する。製造部では、試作品を、次々とスピーディに作ってくれた。大井は言う。「お前に任せるといって、この開発に専念させてもらった。社内では各所が協力してくれた。お客様も期待して待ってくださっている。3カ月の間に結果を出し期待に応えたいという気持ちが強かったですね」

テストを繰り返しているうちに、カーブコンベヤに後付けするのに適したベルトの条件が分かってきた。より細かな条件で試作品を煮詰め、精度を上げていく。試した試作品は、累計で数百種類。ようやく、このベルトなら行けるのではないか、という試作品ができあがった。
しかし、テスト環境でうまくいっても、実地でうまくいくとは限らない。「現場でテストをさせてください」とA社に申し込み、大井たちは物流拠点に試作品を持ち込んだ。期限の3カ月が迫っていた。

次々と全国から舞い込む依頼。

2021年の夏、最初に持ち込んだ試作品は、上々の評価だった。
さらに時間をかけ、重さや形や素材が多様な荷物を搬送しても問題が出ないか、実地での耐久性はどうか、検証を続けていく。さらに、カーブコンベヤの曲がる角度にはさまざまなパターンがある。30度でうまくいったら次は60度、1台でうまくいったら次は2台、と一歩ずつ進めていく。

2022年にかけて、大井が全国の物流センターを飛び回る日々が始まった。A社の物流センターでは、書籍が中心の拠点、衣料が多い拠点など、拠点ごとに荷物に特徴がある。また、拠点によって設置されたコンベヤの長さやカーブの角度や数も千差万別である。それぞれを実地に確認したうえで、最適と思われるベルトを提供し、テストをしてみる必要があるのだ。

一つの拠点への出張が終わって、会社に戻りメールを空けたら、ニッタのベルトの評判を伝え聞いた別の拠点の担当者から、「うちにも来てほしい」という依頼が舞い込んでいるといった日々が続いた。

そんな大井をサポートしたのが、辻暁人や内藤颯だ。A社の拠点ごとに異なるコンベヤ設備に向けたベルトの設計を次々と行い、試作品をつくる。
また、ニッタの各拠点のメンバーも加わり、全国でエリアを分けて、いくつものチームを結成。担当エリアの物流拠点との折衝やテストをサポートしてくれるようになった。軟包装プロジェクトの参加者は、いつしか数十人となっていた。
そのようにして、2022年年末までの間に、A社の全国の物流センターへニッタのベルトの導入が進んでいった。大井たちの忙しい2022年は、あっという間に過ぎ去ろうとしていた。

プロジェクトの終わりと、事業の始まり。

A社への納入の忙しさはピークを越えた。2023年10月、軟包装ベルトプロジェクトはその役割を終え、解散となった。開発したカーブコンベヤの後付け用のベルトが、正式な製品ラインナップに加わったからだ。これからは、事業の一つとして取り組みが始まることになる。
その開発では、辻や内藤が中心となっていく。辻はいう。「これまではプロジェクトだったので、少量の製品を手間暇かけて作ればよかったんです。でも、これからは量産が必要。となると、より製造・加工のしやすい製品、不良品の出にくい製品にしていく必要があるんです」
事業であり、製品である以上、より低コストで、より効率よく、誰もが作れる製品へと育てていくことが求められる。そのために、辻は、製品の設計に磨きをかけていく。辻たちは、社内の製造部はもちろん、品質保証の部門などとも協働しながら、こうした開発業務を進めていくことになる。

「今後は、他のネット通販企業、物流センターでも、同様の取り組みが行われ、同様の“困りごと”が出てくるでしょう」と辻は言う。さらに、辻たちのもとには、海外からも、ニッタの海外グループ会社を通して、“困りごと”の声が届いてきている。
「特に欧米など環境問題への意識の強い地域では、軟包装を進める上で同じようなニーズが挙がってきているようです。しかし海外となると、国内の物流センターのように私たちが何度も通うわけにはいきません。どのようにスキームを組むか、今度の課題ですね」

今後の開発業務を担う若手社員たち。やはりプレッシャーを感じているのだろうか。「プレッシャーよりも、楽しみな気持ちのほうが強いかなあ。今まで誰もやっていないことに取り組めるのですからね」辻たちはそう言って笑った。

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